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突然ですが、皆さんは太刀魚を釣った後、どのように締めていますか?美味しい太刀魚を釣って持ち帰っても、身が赤黒くなっていたり、独特の臭みが残ったりしてがっかりした経験はありませんか?
その原因は、魚の体内に残った「血」かもしれません。
特に太刀魚のように体が細長い魚は、エラを切るだけの締め方では、血が完全に抜けきらないことが多いのです。
そこで重要になるのが「血抜き」です。
太刀魚の血抜きはエラだけでは不十分――。筆者は数百匹以上の太刀魚を船釣りしてきた中で、「尻尾も切ることで完全な血抜きができる」という事を確信しました。
実際にこの方法を試した友人は、「こんなに身が白くてキレイな太刀魚は初めて食べた!」と感動してくれました。
本記事では、その実体験に基づいた血抜きの重要性と、尻尾も切ることでしか完全な血抜きができない理由を詳しく解説します。
そして、初心者の方でも簡単に実践できる、船上での血抜きの具体的な手順を、道具選びから注意点まで、一つ一つ丁寧に解説します。
記事ポイント
- 太刀魚の血抜きは「尻尾も切る」ことが重要です。
- 船上での簡単な血抜き方法を具体的な道具と合わせて解説します。
- 鮮度だけでなく、身の美しさや臭みの有無にも血抜きは影響します。
- 太刀魚の特性を理解することで、より美味しい状態を保てます。
目次
なぜ太刀魚の血抜きは尻尾も切らないとダメ?
筆者も尻尾を切って血抜きをする魚はそれほど多くないのですが、何故太刀魚は尻尾も切る必要があるのか経験をもとに解説します。
- 太刀魚の血が残るとどうなる?科学的な理由
- 食べて美味しい太刀魚、鬼締めなら尻尾を切る血抜き不要?
- エラ切りで絞めるだけでは血抜きが完全にできない理由
- エラ切りだけと尻尾も切った太刀魚の比較
太刀魚の血が残るとどうなる?科学的な理由
太刀魚の血液には「ヘモグロビン」「ミオグロビン」という赤い色素が含まれています。
これらが身に残ると、空気中の酸素と結びつき酸化し、黒ずんだり独特の鉄臭さを発生させます。
特に太刀魚は脂が乗った魚なので、血の酸化臭と脂の酸化臭が合わさることで「生臭さ」が強調されやすいのです。
そのため尻尾まで切って徹底的に血を抜くことが、美味しさを守るために欠かせません。
食べて美味しい太刀魚、鬼締めなら尻尾を切る血抜き不要?
太刀魚は、その身の美味しさから、刺身や塩焼き、天ぷらなど、様々な料理で楽しめます。
しかし、せっかく釣った太刀魚を美味しく食べるためには、釣り上げた直後の処理が非常に重要になります。
釣り好きな方から「鬼締めをすれば尻尾の血抜きは不要ではないか?」という質問をよく聞きます。
「鬼締め」とは、魚の脳天をナイフやピックなどで突き刺して神経を破壊し、エラを切って血抜きして魚をすぐに海水氷に入れる締め方です。
これにより魚の鮮度は非常に長く保たれます。
しかし、この方法では、太刀魚の体内に残っている血は完全には外に出ていきません。
鬼締めでも鮮度は保てますが、血が体内に残ったままになります。
すぐに食べる分には美味しく食べられますが、身を分割して保存するには中に血が残るので適しません。
鬼締は太刀魚以外の魚はとても良い保存方法になります。
詳しくは上の動画をご覧ください。
しかし、太刀魚には不向きな処理方法です。
エラ切りで絞めるだけでは血抜きが完全にできない理由
エラにハサミを入れて締める方法で血抜きをしている方も多くいます。
この方法でも、ある程度の血は抜けますが、太刀魚の場合、完全に血を抜き切ることは非常に難しいのです。
その理由は、太刀魚の体の特徴にあります。
全長が長い
太刀魚は体長が非常に長く、特に大型になると1メートルを超えることも珍しくありません。
エラを切って血を抜こうとしても、心臓から遠い尻尾の方までは、十分に血が流れ出ないことが多いです。
魚の血液はポンプ役の心臓の力で全身に送られていますが、尻尾の方までしっかり送るためには、ある程度の血圧が必要です。
エラを切った時点で血圧は急激に下がるため、心臓から遠い尻尾側の血は抜けないまま身に残ってしまいます。
血管が細い
太刀魚の体は細く、それに伴い血管も体長の長さの割に非常に細くなっています。
エラを切って水を張ったバケツなどに入れても、十分な血流が確保できず、血が抜けにくいのです。
まるで、細いストローで太いジュースを吸うようなイメージです。ストローが細すぎて、うまく吸い上げられないのと似ています。
生命力があまり高くない
他の魚に比べて、太刀魚は生命力があまり高くありません。
真鯛や青物は脳〆やエラを切ると魚体が激しく暴れますが、太刀魚は比較的すぐに動かなくなります。
釣れてしばらくするとすぐに弱ってしまい、心臓の動きも止まりやすいため、血を全身に送り出す力が弱まります。
このため、脳締めしない方がよいという意見もあります。
脳締めをすると心臓が止まってしまい、血を全身に送り出すことができなくなるため、血抜きが不十分になるのです。
エラ切りだけと尻尾も切った太刀魚の比較
エラを切るだけの方法と、エラと尻尾の両方を切る方法で、どれだけ血の抜け方が違うかを比較してみましょう。
上の写真はしっぽを切って血抜きしたタチウオを切った断面です。
ご覧の通り血は抜けています。
こちらは比較用に尻尾の血抜きをしなかったタチウオです。
こちらは切るとどろっと血が出てきました。
こちらはしっぽを切って血抜きした太刀魚のお腹を割って内蔵を取って洗った後の写真です。
お腹はきれいな色をしています。
一方こちらはしっぽを切らずに血抜きした太刀魚です。
洗っても赤みが残っています。
比較項目 | エラ切りだけ | エラと尻尾の両方を切る |
血の抜け具合 | ある程度の血は抜けるが不十分。 | 全身の血が抜けやすく、特に尻尾側の血も抜ける。 |
身の見た目 | 身が赤黒くなりがち。 | 全体的に白く、身が美しい。 |
臭み | 血が残るため、独特の生臭みが残ることがある。 | 臭みの原因となる血が少ないため、ほとんど気にならない。 |
保存性 | 血が残ると腐敗が進みやすくなるため、長期保存には不向き。 | 血が少ないため、腐敗しにくく、長持ちする。 |
刺身にした時の味 | 臭みが気になり、味が落ちることがある。 | 臭みがなく、太刀魚本来の旨味が楽しめる。 |
比較してみると一目瞭然で尻尾を切って血抜きをした方が血はきれいに抜けています。
船上での釣った太刀魚の絞め方、血抜き方法
太刀魚の血抜きには尻尾も切る必要性がわかったと思います。
ここからは実際に太刀魚を処理する場合について解説していきます。
- 絞めて、血抜きに使う道具
- 太刀魚の血抜きをする場所
- 釣った後の血抜き処理の流れ
- 釣船で血抜きをする際の注意
絞めて、血抜きに使う道具
太刀魚の締め方や血抜きには、いくつかの道具が役立ちます。
◾️ナイフよりはさみ
太刀魚は歯が鋭く、素手で触ると非常に危険です。
また、ナイフでエラや尻尾を切ろうとすると、魚が暴れた際に怪我をする恐れがあります。
そこで役立つのが、魚用のハサミです、これなら、安全に作業できます。
ハサミのおすすめはささめ針 ヤイバ 魚絞めマルチシザース YSC-1です。
釣り糸のカットから魚の血抜きまで万能に使えます。
船釣りにあると便利なグッズ紹介をもしています。
※サバ折りは歯に注意
太刀魚は、頭の後ろの骨を折って締める「サバ折り」でも締めることができます。
これは、素早く魚の動きを止めるのに有効な方法です。
しかし、この方法も、鋭い歯が手に刺さる危険性があります。
太刀魚は、歯が非常に鋭いため、サバ折りをする際には、手袋やタオルなどで手を保護し、歯に触れないように十分注意しましょう。
◾️フィッシュグリップかタオル
釣った太刀魚のエラと尻尾を切るためにはフィッシュグリップかタオルを使います。
それぞれメリット、デメリットがあります。
項目 | フィッシュグリップ | タオル |
---|---|---|
メリット | ・しっかり掴める ・手が汚れない | ・太刀魚に傷が付かない |
デメリット | ・太刀魚に傷が付く可能性がある | ・太刀魚の歯がタオルに引っかかることがある ・血で汚れる |
これ以外に手袋をする方法もあります。
筆者はミニタオルを使っています。
自分にあった道具で処理すると良いです。
太刀魚の血抜きをする場所
太刀魚の血抜きは、バケツの中で行うのがおすすめです。
釣船には、海水を入れるための大型のバケツが用意されています。
そこに海水を入れて、魚を締めた後に入れることで、血が海水中に流れ出て、船上を汚すことなく、きれいに血抜きができます。
釣った後の血抜き処理の流れ
釣った太刀魚の血抜きの流れは以下の通りです。
- 太刀魚を釣る: まず、太刀魚が釣れたら、フィッシュグリップかタオルで掴んで釣り針から外します。
- ハサミでエラと尻尾を切る: 魚がまだ活きているうちに、ハサミを使ってエラと尻尾の両方を切ります。
- 尻尾は完全に落としても良いですが、半分から下を切れば血管は切れています。
- バケツに入れて頭を下に掴んで振る: すぐに海水の入ったバケツに入れて20〜30秒ほど頭を下に太刀魚を掴んで振ります。
- 血が抜けるのを待つ: 3分程度、そのままバケツに入れておきましょう。
尻尾は血管が切れていれば切った場所から血が出てきます。
尻尾を持ってバケツの中で振る事で血は完全に抜けます。
エラ切りが不十分だと振ってもバケツにあまり血が出ません、その場合、反対側から再度切りましょう。
釣船で血抜きをする際の注意
釣船は、多くの釣り人が乗る場所です。
太刀魚の血抜きをする際には、周りの釣り人に迷惑をかけないように配慮しましょう。
- 血で船を汚さない: 船上を血で汚さないように、必ずバケツの中で血抜きを行いましょう。
- 汚れたらすぐ洗う: 血が船に付いてしまったらすぐに海水で洗い流しましょう。船上はきれいに保ちましょう。
- 血抜きした後の処理: 血抜きが終わった太刀魚は、クーラーボックスに入れて保管します。事前にクーラーボックスに凍らせた2リットルのペットボトルと海水を入れておき、海水氷を作っておきましょう、
◾️船宿による血抜きルールの違い
実は船宿によっては「血抜き禁止」「簡易的に済ませてください」と案内されることがあります。
理由は以下の通りです。
- 船上が汚れるのを避けたい
- 血の匂いでサメや大型魚を寄せたくない
- 他の乗船客への配慮
血抜きのやり方や場所については、必ず乗船前に船長さんに確認しておきましょう。
太刀魚の血抜きについてよくある質問
最後に太刀魚の血抜きでよくある質問にお答えします。
- 太刀魚の血抜きって必要?しないとどうなる?
- 太刀魚の血抜きってどうやるの?エラ切りだけじゃだめ?
- 尻尾を切ると見た目が悪くなりませんか?
- 血抜きせずに締める神経締めや氷締めでも大丈夫?
- 血抜きのタイミングはいつがベスト?
太刀魚の血抜きって必要?しないとどうなる?
はい、必要です。
血が身の中に残ると臭みや酸化の原因になります。
血抜きをしないまま保存すると、身の色が悪くなり、刺身や焼き物にした時に味が落ちます。
特に釣った当日に食べない場合は、しっかり血抜きしておくことで鮮度が持続します。
太刀魚の血抜きってどうやるの?エラ切りだけじゃだめ?
他の魚はエラを切るだけで血は抜けますが、太刀魚は体長が長いため、尻尾側まで血が抜けないことが多いです。
そのためエラと尻尾を切ることで完全に血を抜くことができます。
切った後、尻尾側を持ってバケツの中で振って血を出すと完璧です。
尻尾を切ると見た目が悪くなりませんか?
確かに見た目は少し損なわれることがありますが、味や保存性を優先するなら尻尾カットは非常に有効です。
調理の際は尻尾は落とすので、問題ありません。
写真を撮る場合は血抜き前に撮影しておきましょう。
血抜きせずに締める神経締めや氷締めでも大丈夫?
神経締めでも良いですが、処理に手間がかかります。
氷締めだけでも鮮度はある程度保てますが、体内に血が残っていると臭みの原因となるため、血抜きはおすすめです。
血抜きのタイミングはいつがベスト?
釣り上げて、まだ魚が生きているうちに血抜きするのがベストです。
魚が弱ってからでは、血が抜けにくくなります。
なぜ太刀魚は血抜きが重要?尻尾まで切らないと“完全には抜けない”理由とはの総括
本記事では、太刀魚の血抜きの重要性と、尻尾まで切ることで完全な血抜きができる理由を解説しました。
太刀魚は、全長が長く、血管が細いため、エラを切るだけの血抜きでは、血が抜けきらないことが多いです。
しかし、尻尾まで切ることで、全身の血を効率的に抜くことができ、身が白く、臭みのない美味しい太刀魚になります。
誘いのタイミングがハマって爆釣してる時は血抜きは後回しにして、少しでも早く仕掛けを再投入したいですよね。
気持ちはよくわかります、でも慣れれば1分もかからず血抜き処理は終わります。
船上での血抜きも、ハサミとバケツがあれば簡単に実践できます。
ナイフを使う際は怪我に注意、ハサミを利用する方が安全です。
釣った太刀魚を最高の状態で持ち帰り、美味しく食べるために、ぜひ今回の血抜き方法を試してみてください。
こちらの記事では、太刀魚釣りに使える仕掛け・タックルの選び方 を解説してます。
合わせてご覧いただければ、より釣果も美味しさもアップします。
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